意外なタイミングで発売された第11弾

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マンツーマンTOEIC対策のリノキア英語スクールです。

2024年7月17日、『TOEIC公式問題集11』が発売されました。

通常であれば10月19日の「トーイックの日」に発売されるのが恒例だったのですが、今回は予想しないタイミングでの発売となりました。いったいどんな意図があるのか、そして今年のトーイックの日にどんなイベントを持ってくるのか、今は分からないことばかりです。

今回の表紙はブルーグリーンの爽やかな色合いです。そして3つの長方形が階段のように並んだのがアクセントになっています。嬉しいのは今回からCDがなくなったことです。語学学習にCDを使う時代はとっくに終わっていますから、遅すぎと言ってもいいでしょう。CDがなくなったのだから、ちょっとでも値下げしてくれたら良かったんですけどね。学習者に寄り添ってほしいものです。

さて、ひとまず前置きはこのくらいにしまして、『公式問題集11』の難易度について解説しながらレビューをしていきたいと思います。このレビューを書くためにテストを解き、1問ずつしっかりと目を通しました。

テスト1・2それぞれ各パートごとに難易度を記しましたので、ぜひご覧ください!

テスト1の難易度

パート1:易しい

かなり簡単なパート1です。このレベルが公開テストにも出ると思わない方がいいでしょう。No.5だけは普通レベルかちょっと難しいくらいに入りますが、それ以外は易しいレベルです。ダイレクトに答えを選びやすいので、消去法を使うまでもないかもしれません。ところどころ見慣れない・聞き慣れない表現があると思うので、しっかり暗記しておきましょう。

600点が目標なら5問正解
700点以上が目標なら6問正解  が目安になるかと思います。

パート2:やや難しい

個人的には普通レベルだとは思いますが、内容理解を試す問題が多かったので、人によっては難しいと感じるかもしれません。問題の質はとてもいいです。質問の内容を分かっていないと正しい応答も選べないようになっているので、いかに内容を聞き取れているかが試されます。公式問題集に収録されていて良かったと思えるクオリティでした。音読などの復習を徹底的にやって、すべてのパターンを覚えきってしまうくらい反復していく価値があります。

600点が目標なら17問正解
700点が目標なら20問正解
800点以上が目標なら22問正解  が目安になるかと思います。

パート3:普通

ナレーターが言うキーワードを拾って解ける問題が21問(No.35, 37, 40, 41, 42, 43, 45, 46, 48, 50, 51, 53, 54, 55, 56, 57, 58, 59, 60, 62, 65)、それ以外の18問は言い換えがされていたり、内容理解が必要だったり、グラフィックを見て解く問題です。キーワードで解ける問題が6割弱なので、難易度は標準的です。このタイプの問題でしっかり正解数を確保しましょう。先読み文の文章量はわりと少ないほうなので、余裕をもって先読みできるはずです。No.47-49のセットは先読み文が多めで、意図問題も入っているためペースを崩しやすいところです。グラフィック問題は標準的だと思います。No.70は読むところが多めだったので警戒しましたが、解いてみると普通の問題でした。

600点が目標なら29問正解
700点が目標なら32問正解
800点以上が目標なら35問正解  が目安になるかと思います。

パート4:普通

キーワードを聞いて解けるのは18問(No. 71, 72, 73, 74, 75, 81, 82, 83, 84, 85, 86, 91, 92, 93, 94, 95, 98, 100)なので、やや多めでした。それ以外の12問は言い換え・セリフの意図問題・グラフィック問題です。公式問題集にしては先読み文の文章量がちょっと多めでしたが、最近の公開テストと比べると標準的です。トークの話題も普通で、ナレーターの速さも普通なので、いたって平凡なパート4だという印象でした。No.86-88のセットでは今までの公式問題集には無かったことが起きますが、公開テストではすでに生じていることなので、「こういうケースもあるのか」と覚えておくことが大事です。あとは自分の信じた答えを最後まで信じることですね。

600点が目標なら20問正解
700点が目標なら23問正解
800点以上が目標なら27問正解  が目安になるかと思います。

パート5:普通

文法問題20問、語彙問題10問という構成です。文法問題の内訳は、品詞問題10問(101, 103, 107, 110, 112, 115, 117, 120, 121, 129)、動詞問題0問、前置詞・接続詞問題7問(104, 106, 108, 113, 116, 123, 127)、代名詞問題2問(105, 126)、その他1問(111 – 比較)です。品詞問題は基礎レベルの問題が多く、定番どころを押さえていれば全問正解も難しくありません。No.121だけは語彙の知識も関わってくるため、難易度がちょっと高いです。前置詞・接続詞の問題はやや難しめでした。しかしながら公開テストに出てくるところばかりだったので、知らなかったものは必ず覚えおくべきです。語彙問題もやや難しめでした。No.119やNo.124あたりが上級者向けで、800点以上を狙う人なら正解したいところです。

600点が目標なら18問正解
700点が目標なら23問正解
800点以上が目標なら27問正解  が目安になるかと思います。

パート6:やや難しい

文章そのものがわりと難しめで、誰が誰に向けて書いているのかを把握するのに苦労するかもしれません。設問は標準的なものが多いですが、No.131とNo.144の文法問題は難しめだと思いました。対照的に、文挿入問題は解きやすかったと思います。ただし、文挿入は文書の内容がある程度わかっているという前提があるので、そもそものところで苦戦すると、文挿入でも苦戦します。

600点が目標なら9問正解
700点が目標なら12問正解
800点以上が目標なら14問正解  が目安になるかと思います。

パート7:とても難しい

No.147-175のシングルパッセージは文章のボリュームがある上に、設問や語彙も難しめだったので、難易度はかなり高いほうだと思いました。読み方が甘かったり、思い込みで解こうとすると足元をすくわれてしまう問題も多々ありました。模試として解くと、正解数が伸びなくて自信をなくしてしまうかもしれませんが、難しい問題ばかりなので、復習をしっかりとすることが大切です。公開テストに似たような問題が必ず出てくるはずです。

No.176-200のマルチプルパッセージも難易度は高いです。そして文章量が多い。。。最後のNo.196-200のブックレビュー3連発は、見た瞬間に心を折られる人が多いことでしょう。公開テストの最後の問題でこれが来たら、なかなか平常心ではいられません。設問でもやっかいなものが多々ありました。No.178、No.184、No.187、No.188、No.198あたりは答えを選ぶのに悩むかもしれません。難しい問題ですので、本番だったら考えすぎずにスルーしていきたいところです。

600点が目標なら25問正解
700点が目標なら30問正解
800点以上が目標なら40問正解  が目安になるかと思います。

テスト2の難易度

パート1:やや難しい

テスト1と比べると語彙レベルはテスト2のほうがずっと難しいです。特徴的だったのは風景写真が3問もあったことです。たいてい1~2問(ちなみにテスト1では1問)なので、3問もあるのは非常に多いです。公開テストでもたまに風景写真が3問ありますが、そういう時のパート1は決まって難しめです。今回だとNo.4、5が難しかったですね。それ以外は標準レベルなので、しっかり正解しておきたいです。

600点が目標なら4問正解
700点が目標なら5問正解
800点以上が目標なら6問正解  が目安になるかと思います。

パート2:普通

非常に平均的なパート2でした。テスト1よりは解きやすいと思います。問題は簡単~標準レベルの問題がほとんどで、難しい問題は数問だけです。初級~中級レベルの学習者にとっては理想的なパート2の教材でしょう。変化球問題は定番どころが多いので、パート2のパターンを知ることができます。上級者にとっては物足りないレベルになるかもしれませんが、学ぶことはあると思いますので、曖昧なところは要復習です。

600点が目標なら18問正解
700点が目標なら21問正解
800点以上が目標なら23問正解  が目安になるかと思います。

パート3:普通

ナレーターが言うキーワードを拾って解ける問題が20問(No.32, 36, 37, 38, 39, 40, 45, 46, 49, 51, 52, 54, 55, 57, 60, 62, 64, 65, 68, 70)、それ以外の19問は言い換えがされていたり、内容理解が必要だったり、グラフィックを見て解く問題です。キーワードで解ける問題が6割弱なので、難易度は標準的です。このタイプの問題でしっかり正解数を確保しましょう。先読み文の文章量はテスト1よりも多かったですが、これが標準的です。グラフィック問題とセリフの意図問題はどちらも標準的だと思います。言い換えされている問題は単語力が大事になりますが、覚えておいたほうがいい単語がいろいろ出ていたので、練習用のパート3としては非常に優秀です。音読やオーバーラッピングをして、英文のリズムを体に沁み込ませていくような復習をするのが理想です。

600点が目標なら29問正解
700点が目標なら32問正解
800点以上が目標なら35問正解  が目安になるかと思います。

パート4:普通

キーワードを聞いて解けるのは17問(No. 71, 72, 73, 74, 75, 76, 77, 81, 85, 86, 88, 89, 91, 92, 94, 95, 96)なので標準的でした。それ以外の13問は言い換え・セリフの意図問題・グラフィック問題です。先読み文の文章量はテスト1よりもわずかに多めでしたが、公開テストを基準にすれば標準的です。トークのトピックや、ナレーターのスピードは普通ですが、やはり語彙レベルは高めに設定されている印象です。セリフの意図問題は、セリフそのものが長めなので難しいです。グラフィックもなかなか難しかったです。とくにNo.97は聞き逃してしまう可能性が高いかもしれません。こういうパターンもあるのだということを覚えておくための経験になると思います。

600点が目標なら20問正解
700点が目標なら23問正解
800点以上が目標なら27問正解 が目安になるかと思います。

パート5:難しい

文法問題20問、語彙問題10問という構成です。文法問題の内訳は、品詞問題7問(105, 110, 112, 116, 121, 123, 129)、動詞問題3問(106, 114, 127)、前置詞・接続詞問題5問(101, 103, 104, 115, 125)、代名詞問題2問(102, 118)、その他3問(108 – 関係代名詞, 122 – 形容詞, 126 – 倒置)です。品詞問題は基礎レベルが多めですが、使用されている単語が難しいために問題そのものも難しく見える傾向がありました。動詞問題でも同じことが言えます。設問になっている単語が難しめでした。代名詞問題だけは基本的でしたが、それ以外は文法問題・語彙問題を問わず、単語レベルが高めに設定されていて、かなり難しいセットでした。公式問題集でこのレベルを出してくるということは、公開テストでも同じくらいの問題が出てくる可能性が高いということになります。語彙力をしっかり鍛えておいてくださいという公式からのメッセージなのかもしれません。

600点が目標なら17問正解
700点が目標なら20問正解
800点以上が目標なら24問正解 が目安になるかと思います。

パート6:普通

文書の内容はわかりやすく、設問も難しいものがほとんどないので、かなり解きやすいと思います。600点レベルの人でも、時間をかければ内容をしっかりと理解できるはずです。そうなれば文挿入問題も怖くありません。テスト2の文挿入問題はかなり解きやすくなっています。使用されている単語も、パート5と比べたら標準的です。パート6のいい練習になりますので、しっかり復習をして、内容を覚えてしまうくらい読み込んでおきたいところです。

600点が目標なら11問正解
700点が目標なら14問正解
800点以上が目標なら15問正解  が目安になるかと思います。

パート7:やや難しい

シングルパッセージ(No.147-175)は、文章量は普通ですが、語彙レベルが高めで、TOEICの勉強だけでは覚えることの難しい単語がちらほら見られました。これはテスト1にも言えたことですし、テスト2のパート5にも言えたことです。この『公式問題集11』を解いてもっとも印象的なのは、語彙のバリエーションでした。これが今後のスタンダードになるのだとしたら、学習者はボキャブラリーの強化をより一層がんばらないといけません。パート7に話を戻しますと、シングルパッセージの設問は標準的でした。当たり前のことですが、読めれば解けます。ただし、語彙が難しいので、そこで足を取られてしまう人も多いだろうと思いました。

ダブルパッセージ(No.176-185)は、前半は普通レベルですが、後半が難しかったです。やはりアーティクル(記事)が絡んでくると難易度が上がりますね。読むだけでも一苦労ですが、答えを探すのも苦労します。

トリプルパッセージ(No.186-200)は標準レベルでした。文章量も単語レベルも普通です。設問も平均的なものばかりでした。No.192やNo.200はちょっと難しめでしたが、800点以上を目指すのであれば正解したいところです。

600点が目標なら27問正解
700点が目標なら36問正解
800点以上が目標なら42問正解 が目安になるかと思います。

公式問題集は徹底して復習すべき!!!

今回の『公式問題集11』からCDがなくなりました。おかげで本が開きやすくなり、学習者目線での改善がされました。依然として解説はそこまで有意義なことは書いていないのですが、単語やフレーズのリストは復習に役立てることができます。同義語みたいな補足情報が載っていれば最高のテキストになるんですけれどね。

難易度の解説コーナーでも書きましたが、『公式問題集11』では語彙の難しさが印象的でした。ここ最近のTOEIC公開テストを受験していても見慣れない語彙が増えてきたと思うことがあります。1,2年前のTOEICの語彙レベルから変わってきているのは間違いありません。

最新の公式問題集と似たような問題が公開テストに出ることは珍しいことではありません。よって、『公式問題集11』に出ているような単語が公開テストにも出てくる可能性はとても高いのです。

単語の復習はとても重点的に行うべきです。パート7の本文中に出ている単語でも、公開テストではパート5やパート6の答えになったりしますので、単語の意味だけでなく、単語が使われている文脈も含めて覚えるのが理想です。

リスニングのパート3,4でも、しっかりと先読みをするために、単語の重要性が高まっています。単語学習には終わりはありませんが、少なくとも持っている公式問題集の単語は覚えきるくらいの意気込みで取り組んでいくべきです。TOEICというテストは「読める人が解ける」傾向が強いため、リスニング学習であってもリーディング要素を忘れることなく対策していきたいところです。

語彙ばかりに着目してしまいましたが、公開テストをずっと受け続けている僕にとっては、そこが最も印象的でした。これをきっかけに、既存の人気単語集も改訂されるようになってくれると嬉しいです。

『公式問題集11』のレビュー記事はここまでとなります。最後までご覧いただき、ありがとうございました。