まずはとにかく単語
8月に夏休みが始まると同時に、僕の英語学習は本格化していきました。朝の9時~12時までの3時間は、欠かさず英語を勉強しました。単語1つとっても、語法や類義語まで細かく学び、単語集についている例文も筆写したり音読したりしたため、単語50個を終えるのに2時間くらい費やしていました。僕の場合、単語は覚えることを目標にしなかったのが良かったと思います。僕が単語学習において目標としていたのは「使えるようになること」でした。
読んで分かる、聞いて分かる、そういう単語の勉強は、大学受験のときに飽きるほどやってきました。いつまでもそのレベルの勉強をしていては英語が使えるようにならないと気づいていたので、単語を覚えたかどうかの基準は、自分の言葉として使えるようになったかどうかでした。そんな風に単語学習をしたおかげで、その後の英会話や英検1級での面接試験などで大いに活きました。ネットでは「TOEICではコミュニケーション力は身につかない」という批判をよく見ますけれども、それは学習者の心がけ次第です。僕の場合、TOEICのために勉強したおかげで英語が話せるようになりました。
ちなみに当時やり込んでいた単語集は『究極単語』というものでした。ものすごくマイナーな本ですね。受験生時代に使っていた『ターゲット1900』と同じ著者だったので、これを買いました。当時は定番と言われるTOEICテキストが確立されていなかったので、テキストの当たり外れの差がすごかったです。
この『究極単語』ですが、今だったら買わないかもしれません。生徒さんにもオススメしないでしょう。分厚いし、2700語もあると思うと気が遠くなります。TOEICに燃えていた若者だったからこそ使い続けることができたのしょう。
音読しかリスニングの勉強法を知らなかった
僕がセンター試験を受けたのは、リスニングテストが導入されて2年目のことでした。ちょうど過渡期にありましたが、まだまだリーディング偏重の名残が強く、センター試験のリスニングの配点は、リーディングの4分の1でした。
そんな受験生だったため、リーディングの勉強法は分かっているけれども、リスニングの勉強法について知っていることはほぼゼロでした。有名なシャドーイングやディクテーションも試したことはおろか、聞いたこともないという有り様です。
公式問題集にはCDがついていたから音声を聞くことはできたけれども、その音声をどのようにしてリスニング力アップに結び付けるのかが分かりませんでした。だからとにかく例文やリスニングのスクリプトを音読していましたね。勉強法の本を読んで、音読が良いとされていたからです。
音読もやってみると奥が深くて、最初は正しくスムーズに読むことが目標なのですが、だんだん上手になってくると、文字から目を離して読んでみたり、目の前に相手がいると想定しながら気持ちを込めて読んでみたりと、工夫次第でいろいろな刺激を得ることができます。そのうちに英文も暗記してきて、初めて聞く音声であっても内容が分かるということが増えていきました。その後、ディクテーションやシャドーイングといった定番の勉強法を身につけていくのですが、最初に音読をたくさんやったことは大きかったです。
音読はリズムがとても大事です。日本語はモノトーンな言語だけれども、英語にはリズムや抑揚があるので、それを意識しながらスムーズに読めるように練習します。そうしていくと文章のリズムが身についてきて、英語を読むのもリズミカルになっていくのです。音読はリーディングにも効果がありますから、若いうちにガンガンやるべきだと思っています。
そんな風にして、単語をみっちり覚え、声が枯れるくらい音読を繰り返すという大学生らしくない夏休みを過ごしました。当時18歳の僕でしたが、あの時やったことが今でも残っていると思うと、若いときの吸収力は本当にすごいです。自分の英語力が形成されたのは、10代後半だった自分の頑張りのおかげだったなと強く思うのです。
その3へ続く