TOEIC600点への英文法
ご覧いただき、ありがとうございます。
TOEIC対策のリノキア英語スクールです。
今回は、「It構文」についての文法講座です。
Part5,6の文法問題として出題されることは少ないのですが、TOEIC全体を通しての英文中で多用される重要文法です。
It構文を正しく理解していないと、上手に訳せない文も多いと思います。
裏を返せば、It構文がわかっていると、「It」が何を指しているかで迷うこともなくなるし、自分で英語を使うときにも表現の幅が広がります。
それくらい便利な文法なのです。
この記事は、序盤と中盤でIt構文についての重要ポイントをまとめていき、最後にTOEICパート5形式の練習問題に取り組んでいただくという流れになっています。
もちろん最初に練習問題を解いて理解度をチェックしてしまっても大丈夫です。
使いやすいように利用してもらえれば幸いです。
それではさっそく、スタートしていきましょう。
1. 主語がItの「It構文」
1-1. It – to構文
そもそも「It to構文」って何? と疑問に思った方は、次のような英文を見たことがありますでしょうか。
It is important to work hard.
このようにItで文が始まり、途中にto 不定詞が出てくる文です。
これが「It to構文」と呼ばれるものです。
決まった形(Itで始まり、to不定詞を含む)であるため、「構文」と呼ばれます。
ちなみに、先ほどのIt構文が使われている英文は、訳せますか?
このような訳が思い浮かんでいれば大丈夫です。
It is important to work hard.
(一生懸命仕事をすることは大事です)
Itで始まっているものだから、つい「それは」なんて訳し方をしてしまうと、残念ながら正しく意味を取ることができません。
Itで始まっているのに「それは」と訳さないところが、この「It構文」の重要なところなのです。その理由もしっかりと確認していきましょう。
まず、このItは「形式主語」と呼ばれています。
形式的に用いられている主語なのですね。いわば身代わりです。
そうなると大事になるのが、「じゃあ本当の主語はどこなの」ということです。
本当の主語は、to不定詞のところになります。
これがIt構文の最重要ポイントです。
だからこそ、「それは~」じゃなくて、「働くことは~」で訳文が始まっていたのです。
なぜこんなことが起きるのか。
いろいろと説はあるようですが、「英語では主語が長くなるのを避ける傾向がある」というのがもっとも説得力があると思います。
本来であれば、このような文になるわけです。
To word hard is important.
3語くらいなら大目に見てくれてもよさそうですが、次のような文だったら、どうでしょう。
To work hard every day from morning till evening for the sake of your clients and your family is important.
(クライアントと家族のために朝から晩まで毎日がんばって仕事をすることは大事です)
極端な例ではありますが、is以前がすべて主語となってしまうのです。
英語だと、このように長い主語は嫌がられます。
結論をグダグダ焦らされるのと同じですね。
「うちの母さんの知り合いの息子が通っている学校の校長先生がずっと昔に教えていた生徒が、国から表彰されたんだって」みたいな話し方をされたら、「主語ながっ!」となって、本題に集中できませんからね。
それに対して最初にItを置いて、「あとで主語を言いますからね」と断っておけば、たとえ主語が長くなる場合だとしても、動詞はすぐに登場するので、聞き手を焦らすこともありません。
このように文をすっきりさせるために、It to構文は使われるのです。
・Itで始まり、to不定詞を含む構文
・Itは「形式主語」という、代理の主語
・本当の主語は「to 不定詞」部分
1-2. It – that構文
続いて、「It that 構文」もチェックしていきます。
このような文に見覚えはありますか。
It is important that you keep studying English.
Itで始まり、途中でthat節が出てくる文章です。
先ほどの「It to構文」の仲間であり、「It that構文」と呼ばれます。
どちらの構文も、TOEICには頻繁に出てきます。
It that構文では、Itが形式主語で、that節が本当の主語となります。
It is important that you keep studying English.
(英語を勉強し続けることは大事です)
that節のところから訳していくと、きれいな日本語になります。
主語がとても長いので、It構文にすることでスマートになります。
自分で英語を話したり書いたりするときにも使えますので、ぜひマスターしましょう。
1-3. It構文での書き換え
ここまで2種類のIt構文を見てきました。
お互いに書き換えが可能であるため、そのときのポイントに触れます。
まずは、次の「It that構文」を、「It to構文」で書き換えてみましょう。
・It is necessary that you finish this report by Friday.
・It is necessary (for you) to finish this report by Friday.
途中の(for you)は、この文だとあってもなくても大丈夫です。
It to構文では、「誰が」を明らかにしたいときに(for ~)を付けます。
これによって、レポートを終わらせるのが「あなた」だと分かるのです。
It that構文では、that節中でかならず主語つけなくてはいけないので、ご自分で使うときには、そこだけ気を付けてください。
2. 目的語がitの「It構文」
主語がItの「It構文」は一目ですぐに判断できますが、上級編として、目的語にitが使われる「It構文」も覚えておきたいところです。
次のような英文を見たことがありますか。
This book will make it easy to understand science.
itとto不定詞がセットで出てきているので、先ほどの「It to構文」と似ている感じもしますが、itの位置が違っていますね。
makeという動詞のうしろ、つまり「目的語」の位置にitがあるのです。
訳はこのようになります。
This book will make it easy to understand science.
(この本は、科学を理解することを簡単にしてくれるでしょう)
なぜこのような訳になるのか分からない方は、次のような英文が理解できているかをチェックしてみましょう。
The book made me happy.
このmakeの語法を知っている必要があります。
The book made me happy.(その本は私を幸せにしてくれた)
made me(O) happy(C)「私を幸せ(な状態)にした」
そして先ほどの文はこうでした。
This book will make it easy to understand science.
make it easyなので、「それを簡単(な状態)にする」という訳になりそうですが、これだけだと「それ」の指すものがわかりません。
ここで「to不定詞」が重要になります。
先ほどの「It to構文」が応用されているのです。
つまり、itが指すものは、「to不定詞」部分なのです。
このitは、「形式目的語」と呼ばれ、本当の目的語は「to不定詞」部分となります。
This book will make (to understand science) easy. と書くと目的語が分かりにくいため、itを代理の目的語として置いて、そのあとで本当の目的語を続けているのです。
こういうわけで、「科学を理解することを簡単にする」という訳し方になります。
make A Bのような語法を持つ単語はいくつもありますが、TOEICではmakeのほかに、findがよく出ますので、これは押さえておきたいです。
ちなみに「find A(目的語) B(形容詞)」になると、「~を見つける」ではなく「~と思う、わかる」という意味になるので、そこも非常に大事です。
例文も見ていきましょう。
I found it difficult to use the new software.
(私は、その新しいソフトウェアを使うことは難しいと思った)
この文に出ている「find O C(OがCであると思う」はTOEICでよく使われます。
正しく英文を読むためにも、しっかり理解しておきたいところです。
3. TOEIC Part5形式 練習問題
問題(全5問)
If you want to change your career, —— is important to ask your colleagues or friends for advice.
(A) they
(B) which
(C) it
(D) so
According to the article, it is clear —— car sales this quarter will be higher than the industry’s expectations.
(A) that
(B) of
(C) when
(D) for
It is necessary —— the training session this year even if you completed the same one last year.
(A) of attending
(B) to attend
(C) for attend
(D) with attending
After having a business discussion with the supplier, Mr. Carrera found it —— to ask for deeper discount.
(A) hard
(B) hardly
(C) more hardly
(D) harden
The closure of Barton Crest Mall will make —— even harder for Barton City to attract business owners from outside the city.
(A) them
(B) so
(C) much
(D) it
解答と解説
If you want to change your career, —— is important to ask your colleagues or friends for advice.
(A) they
(B) which
(C) it
(D) so
解答:(C)
空所のある文にはto不定詞があるため、It to構文が使われていると判断できます。したがって(C)が正解です。
それ以外の選択肢では、to不定詞とのつながりが出来ません。
(訳)転職をしたいと考えているのなら、同僚や友人にアドバイスを求めることが重要です。
語句:ask A for B:AにBを求める / colleague:同僚
According to the article, it is clear —— car sales this quarter will be higher than the industry’s expectations.
(A) that
(B) of
(C) when
(D) for
解答:(A)
it is clearと始まっていますが、itを「それ」と訳すことができないため、It構文であることが分かります。
選択肢のうち、It構文を作れるのは、(A)thatだけなので、これが正解です。
It that構文が完成します。
(訳)その記事によると、今四半期の車の売上が、業界の予想よりも高くなることが明らかです。
語句:article:記事 / quarter:四半期 / industry:業界 / expectation:予想
It is necessary —— the training session this year even if you completed the same one last year.
(A) of attending
(B) to attend
(C) for attend
(D) with attending
解答:(B)
It構文であるため、それに合うものを選びます。
正解は、It to構文が完成する(B)です。
(訳)たとえ去年、同じものを修了していたとしても、今年の研修会には参加する必要があります。
語句:even if:たとえ~であっても
After having a business discussion with the supplier, Mr. Carrera found it —— to ask for deeper discount.
(A) hard
(B) hardly
(C) more hardly
(D) harden
解答:(A)
found it ( )の形になっているため、itが形式目的語であり、空所には形容詞が入ると分かります。
選択肢のうち、形容詞は(A)なので、これが正解です。
(訳)その供給業者との商談のあと、Carrera氏はさらなる割引を要求するのは難しいと思いました。
語句:supplier:供給業者 / ask for:~を求める
The closure of Barton Crest Mall will make —— even harder for Barton City to attract business owners from outside the city.
(A) them
(B) so
(C) much
(D) it
解答:(D)
make( )形容詞の語順になっているため、空所には目的語となるものが入ります。また、その後にはto 不定詞がつながっているため、これとイコールの関係になる「形式目的語」が必要だと分かります。
選択肢のうち、形式目的語になるのは(D)だけなので、これが正解です。
(訳)Barton Crest Mallの閉鎖は、Barton Cityが市外から事業者たちを取り込むことをよりいっそう困難にするでしょう。
語句:closure:閉鎖 / attract:~を惹きつける
4. 終わりに
練習問題はどうでしたか。
最後の2問はかなり難しめですが、形式目的語がどういう場面で使われるのかを押さえていれば、文の内容がわからずとも解ける可能性が高くなります。
とはいえ、内容を理解したり、自分で使いこなせるように練習したりするのが勉強ですので、問題が解けることの一歩先をゴールに見据えてほしいと思います。
今回はPart5形式の練習問題を用意しましたが、It構文がPart5,6で出題されることは、かなり少なくなりつつあります。
それでもTOEIC全体で見れば、1回のテストで数回は使われている構文なので、重要度としては上位にあります。
理解度を試すという意味で、練習問題を使っていただけると良いかと思います。
それでは、みなさんがTOEICで目標スコアを達成されることを願っております。
ご覧いただき、ありがとうございました。